「日本より幸せなアメリカの下流老人」という本を読んで



「ルポ 貧困大国アメリカ」とは、ちょっと違う視点での本となっています。

確かに、アメリカは自己責任ということで済まされてしまうところがある冷たい面もあるのだけれど、逆にNPOがたくさんあって、日本よりも政府以外の助けがあるということをこの本は教えてくれる。
ただ、確かにこの本は悲惨なところがあまり書かれてないが、貧困層の医療費を補助する「メディケイド」がまだ機能しているカリフォルニア州しか取材していないらしく、アメリカの一部の州で医療崩壊が起こっていることが書かれていない。
国のセーフティネットが機能しているカリフォルニア州では、下流に落ちても生きていけると書かれている。

医産複合体に支配されているアメリカの悲惨さがあまり書いてなくて、暗い気持ちになりたくない方には、こちらの本のほうがいいように思う。

※「医産複合体」とは、製薬会社と保険会社、そしてウォール街が結託して、病気を抱えるもっとも弱い立場の人々をカモにする業態のこと。

アメリカでいいところは、富裕層からのNPOへの寄付金が多く、貧困層にとって大きな役割を担っていることだ。NPOへの寄付は、日本で1兆4000億円ほどGDP比で0.26%で、アメリカでは37兆円でGDP比で2.07%ほど。寄付金総額で28倍、GDP比で8倍になる。NPOがあまり日本に根付いてないのは、やはりお金の面で違いがあるからかも知れない。
運営面やサービス面での高いプロ意識を持てるのは、それなりに報酬を支払う余力があるおかげだという。日本のように他の業態より、明らかに低い賃金で職員を雇っていては、長期的に組織を維持するのは難しいという。

アメリカでは、政府支援がしっかりしていて、貧困層に落ちるといろいろなセーフティネットが用意されている。日本でいうところの生活保護が日本のように1つだけでなく、所得補助である補足的保障所得(SSI)、家賃補助、食料を提供するフードスタンプ、公的医療補助であるメディケイドなど、日本よりも細分化されている。そのため、補助を受ける際にも、それほど敷居が高くない。
また日本の悪いところは、生活保護に対して、悪いイメージがあり、バッシングする傾向があり、本当に困っている人が助けを求めにくい面がある。実際に生活保護を受けていることを周りに知られて、孤立するケースもあるらしい。

生活保護を分野毎に細分化するのはいいことだと思う。家賃補助やフードスタンプのように、ある特定の部分で補助を受ければ、やっていける人もいると思うので、そういうところはアメリカの方が優れていると思う。また、生活保護に対して、悪いイメージがありすぎるものよくないことだ。憲法25条で定められている生存権を守る社会にするべきだと思う。老後破産により苦しい生活を強いられる老後を自分も想像したくないので、ぜひそこはなんとかならないものかと思った。

この本でもう1つ大きく取り上げていることは、老人の孤立だ。日本の老人の孤立度は、OECD(経済協力開発機構)で最低だ。日本人は人見知りが多いということを考えても、独居老人へのケアが少ないため、孤立しているとしている。アメリカやイギリスの例が本では紹介されているが、NPOが手厚く老人を孤立させないよう勤めてくれている。日本でも、そういう運動はあると思うが、前にも書いたが、NPOの規模自体がアメリカなどに比べると小さいため、まったく需要に追いついていない。

自分も今後、子育てが終わって、時間ができるようになったら、NPOでボランティアをするのもいいなと思った。

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感想(1件)


2件のコメント

  1. 弱者への支援は、アメリカはかなりしっかりしているみたいですね。富裕層は寄付するとか、教会やコミュニティの仕組みとか、NPOの地位とか、日本とは違う面で機能している部分があるんだろうな、と思いました。

    それにしても、ポンさんは読書家ですね。私も昔はよく読んでましたが、近頃はさっぱりです。

    あと、ブログへのコメント、ありがとうございました。ポイントサイトでは、化粧品などはお得なものがたくさん出ますので、ぜひ奥様に教えてあげてくださいねー。

    • ponnponn

      そうなんですよね~、中間層がこんなに少なくなって、どうやって社会がなりたっているのか、気になっていたのですが、教会やコミュニティやNPOが機能しているから、なんとかなっているようです。子供の4分の1が貧困層というすごい格差社会になっても、政府の補助のおかげでなんとかなるということだと思います。

      ちょっと長くなるので、また記事にしたいと思います。

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