農協の株式会社化により、農作物が高くなる







この間、YahooニュースでJAさがについて以下のようなニュースが出ていました。

「JAさが(金原壽秀組合長)は、農産物加工や購買生活関連などのグループ会社15社のうち9社を、新たに設立する持ち株会社(ホールディングス、HD)2社の傘下に置く方針を決めた。」
「農業の競争力を強化する政策の一環として国が推進する農協改革の要求に応えるとともに、外部に頼らない「自己改革」の姿勢を鮮明に打ち出す狙いもある。」
「金原組合長は「HD化で各社が持つ強みや力を集約し、農協の使命である農業生産の拡大と農家所得の向上実現に向けた再出発にしたい」と話す。」

農業の競争力強化って、いったい。。。

国の農業の競争力強化ってなんでしょうねえ。
日本国内の農作物の価格は、安いわけではないです。つまりセイリングパワー(販売力)が不足していて、買い叩かれているわけではないです。
むしろエンゲル係数が発展途上国水準まで上がってきている日本は、お給料に占める食費の割合が高いのですから、農作物の価格を上げることは難しいと思います。(当ブログの「日本人の消費支出が1割減」で示したとおりです)
つまり農作物の価格は下げる方向に世論は動いていると考えていいでしょう。
その中で、農家の方々の所得向上を実現するって、何をすることで所得を上げようということでしょう?
単純に農家の方々の所得を上げるには、農作物の価格を上げるしかないように思えますが。

協同組合ってどんなもの?

そこで槍玉に上がっているのが、農家の方々と消費者の間に入る商社としての全農のわけです。
しかし、歴史的に言うと、個別の農家が農協のような協同組合を持たずに、商社と渡り合おうとしたとき、セイリングパワー(販売力)が不足するため、商社のバイイングパワー(購買力)に負けて、農家は商社に安く買い叩かれていたわけです。
商社は悪いものを高く売る形で、暴利を得ていたのです。
そのため、農家の方々は団結して商社に対抗するために、協同組合である農協を作ったわけです。
農協という団体を作ったおかげで、商社と対抗して、農作物を商社に対して高く売ることに成功したのです。
つまり、協同組合である農協のおかげで、農家の方々の所得は保てているのです。
農協の設立は、農家の方々の工夫で生まれた進化した共同体ということが言えます。
また重要なのは、農協が協同組合であることです。
協同組合であるために、営利を追求しないことだということです。
つまりは、農協は消費者に自分たちの活動資金以上の利益を追求せず低価格で商品を流通し、農家の所得を確保することをしてきたわけです。
農協を株式会社化することは利益を上げるために、農作物の価格をつり上げ、農家から農作物を安く買おうとするため、消費者は高い農作物を買わされ、農家の方々の所得も下がると思われます。
なぜなら、消費者は生きるために農作物が必要不可欠なので、高くても買わざるを得なし、農家は農協に売って流通してもらう必要があるからです。
国はいったい何をしたいのでしょう?

亡国の農協改革

結局、政府は何が基礎になって現在の社会構造ができているのか、理解していないと思わざるを得ません。
今の安倍政権は、規制改革をいろいろしています。
歴史的な必然で作られた発達した社会構造である、農協というシステムまで壊そうとしているわけです。
農作物の値段を下げたい、そして農家の方々の所得を上げたい。そのためには、農協の株式会社化だ!と言って、見通しとしてはまったく反対の農作物の価格が上がり、農家の方々の所得が下がる政策をしているわけです。
愚かと言う他はありません。
どうすれば、こんな政策になるのか、まったく理解できないのですが、国民も事情を理解していないため、農協改革を支持しているわけです。
そして、マスコミが愚かなことに、農協改革を煽ったのです。。。
この国はいったいどちらに向かいたいのでしょうか?
普通に農家の方々への補助金を増やせばいいだけなのに、国は何をしているのでしょうか???
さっぱりわかりません。
JAさがの影響が、全国に広まらないことを望みます。

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