貨幣についての誤解がデフレを長期化させた、国の借金を減らすことは間違っている







以前、プライマリーバランスについて書きましたが、今回は財政均衡の無意味さを示す理論について紹介したいと思います。

現代貨幣理論とは

L・ランダル・レイにより、現代貨幣理論という理論が導かれています。

これは新古典派経済学とは別のケインズ主義を基にしたポスト・ケインズ派の理論で、新古典派経済学のように貨幣のことを物々交換の対象として考えるのではなく、貨幣とは表券であるという考え方を基に作られています。

つまり、貨幣とは債務債権を現したものでしかないという考え方で考えられた理論です。

金属主義と表券主義

前にも示しましたが、新古典派経済学は金本位制のような、貨幣に対する金の裏づけがある場合の考え方です。つまり貨幣自体に価値があり、商品であるという考え方です。これを金属主義といいます。

それに対して、表券主義である国定信用貨幣は、国が租税を徴収する対象として貨幣を定めることにより、国の信用が貨幣の裏づけとなるという考え方です。貨幣は、商品ではなく、貨幣自体には価値はないという考えです。

国定信用貨幣とは、租税の徴収だけでなく、財やサービスの取引や貯蓄の手段にも用いられるようになるという貨幣観です。

現代貨幣理論で考える通貨発行の過程

国定信用貨幣を基に考えた場合、貨幣とは、国が財政支出をした際に発生する。つまりは、貨幣の発生は、国が民間に仕事を依頼し、貨幣による支払いをしたときに発生するという考え方をします。

そのため、通貨として流通している貨幣を全て納税という形で徴収してしまうと、流通している貨幣がなくなるため、民間での取引が滞ることになるわけです。

つまりは、政府は、民間の通貨の流通を滞らせないためには、政府が徴税以上の財政支出をする必要がある、つまりは、赤字財政があるべき姿だという結論になるわけです。

現代貨幣理論で考える国の収支

マクロ経済的に見ると、国の収支は、国内民間部門、国内政府部門、海外部門から、成り立っています。

マクロ経済では「国内民間部門の収支+国内政府部門の収支+海外部門の収支(資本収支)=0」が成り立ちます。

これでいうと、国内政府部門の黒字は、国内民間部門の赤字もしくは資本収支の赤字をまねくということです。

国が、国内政府部門の収支を黒字化する、つまりは財政均衡を目指すために、緊縮財政を実施すると、国内民間部門は赤字になるということがわかるわけです。

現代貨幣理論を理解しない政権

今の日本のように、資本収支は常に黒字の国では、国内政府部門の支出を減らせば、国内民間部門の収支が減ります。

安倍首相は、国内政府部門の収支を改善したと言って、自分の成果だと主張するわけですが、とんでもないことで、国内民間部門の収支を悪化させたことに他ならないのです。

つまりは自分が何をしたのか理解していないわけです。

消費税の増税、緊縮財政は、民間の収支に打撃を与えたということが言えるわけです。

不況時に財政均衡は不要

確かに、貨幣の流通を促進するために、日銀が国債を銀行から買い取り、「国債の貨幣化」により、貨幣の民間での流通量を増やす政策をしました。

しかし、国内政府部門の収支の赤字幅を縮小したため、その分、民間にしわ寄せが来たわけです。

財政均衡が如何に愚かな政策であり、デフレから脱することを目標に掲げた初期の安倍政権の目標と、逆行していることがわかるかと思います。

不況時に消費税の増税、緊縮財政はやってはいけないことなのです。

政府は税収をコントロールできない

政府は税率を変えることはできますが、税収まではコントロールできません。

つまり政府は、収支をコントロールできないのです。

今の日本のように税率を変えることで消費が減れば、所得も減るため、税収は減る場合があるのです。

財政均衡を目標にすることは、ほぼ不可能であると言えます。

政府は、完全雇用と物価の安定を達成することを目標にするべきだということです。

現状、完全雇用が実現しようとしています。物価はデフレという問題が解決しないままです。

政府は物価についてだけコントロールすればいいことになります。

今の状態ならば、消費税減税と、緊縮財政をやめて民主党政権前の状態に戻すだけで、問題は解決するものと思います。

貨幣観の是正が必要

新古典派経済学では、到底理解できないことであると思いますが、貨幣観の誤りは考古学では実証されています。

まずは財務省に新古典派経済学を捨てさせ、表券主義の考え方を根付かせなければいけません。

ぜひ、正しい貨幣観を取り入れて、デフレ脱却するために、努力をして欲しいものです。

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