公開日時: 2016年7月15日 @ 23:13
安楽死(積極的安楽死)について、考えることがある。前に癌の終末期患者を安楽死させるドラマがあった。癌患者の苦痛と恐怖から開放するため、医者が安楽死を実施しているというドラマだった。医者は最後に安楽死が見つかり、逮捕されてしまう。しかし、以下の場合は、判例に則り、違法性を阻却されるらしい。
・患者本人の明確な意思表示がある(意思表示能力を喪失する以前の自筆署名文書による事前意思表示も含む)。
・死に至る回復不可能な病気・障害の終末期で死が目前に迫っている。
・心身に耐えがたい重大な苦痛がある。
・死を回避する手段も、苦痛を緩和する方法も存在しない。
ドラマの内容だと、もしかしたら、違法性はなかったかも?と思ってしまう。
しかし、日本の医療の中で、積極的安楽死はタブーになっているように思える。危ない橋を渡ってまで、死なせてあげようと思う医師は少ないと思う。
この間、バラエティ番組を見ていて、ご高齢の方に望むことは何かと質問したところ、(番組上は)全員「人に迷惑をかけないで死にたい」と言っていた。つまりは、寝たきりになったり、痴呆になったりして、家族や介護士の介護を受けてから死ぬのは嫌だということだ。尊厳死という考え方はどこまで進んでいるのかはわからないが、ご老人の言いたいことはそういうことだと思う。呆けないうちに死にたい、寝たきり介護を受ける前に死にたいということだ。
しかし、積極的安楽死は上記の4つの条件が必要となる。自殺するという選択肢もあるかも知れないが、呆けた人、寝たきりの人は自殺はできない。そうなると尊厳死という選択肢になると思われる。しかし、尊厳死は認められてないため、医師による積極的安楽死は受けられないのが現状だ。
ご老人の思いが尊厳死容認であるということであるならば、現状の介護職員不足、超高齢化による年金不足など、一挙に解決するかも知れないと思ってしまうのは、私だけだろうか。
問題はいくつもある。何をもって尊厳死とするか、誰の許可があればいいのか、どんな工程が必要か、いろいろある。ご老人がもし呆けたら尊厳死をさせて欲しいと遺言を残していたとしても、家族が生きていて欲しいと願った場合は、どちらを尊重するのか?難しい問題だと思う。
それに、尊厳死を望む人は実際にはいないかも知れない。
海外を見ると、積極的安楽死を認めている国はある。スイス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、アメリカのいくつかの州がある。そこでどんな形で安楽死が行われているのかは不明だがテレビのニュースで、末期癌の女性が安楽死を選び、実施されるのを見たことがある。確かアメリカのオレゴン州の話だった。末期がんの患者さんの苦痛が短くできるのであれば、そんな制度があってもいいように思える。
死というものに対する倫理感が問われる問題ではあるが、先例を参考に制度を考えて欲しいと思う。最初は狭い範囲での実施でいいと思う。75歳以上の人の末期がん患者しか安楽死は認めないとか、そんなところから始めるなど、まずは制度を作ってもらいたいと思う。