医療と介護の公定価格の見直しの闇、医療亡国、介護亡国







文化放送のラジオネタです。コメンテーターは、経済評論家の三橋貴明さんです。

来年度予算案の編成に向けて、さまざまな動きが見られる中、財務省は医療と介護サービスの公定価格を見直す報酬改定でいずれも減額を要求しています。

公定価格の引き下げ

診療報酬というのは、保険診療のときに医療サービスに対して、公的医療保険が医療機関に公定価格を支払うということです。

介護報酬というのは、介護保険の適用されるサービスしたときに、事業所などに支払われる報酬のことです。

公定価格は、診療報酬と介護報酬の単価だと思っていいです。

なぜ公定価格が見直されるかというと、来年度が診療報酬と介護報酬の両方が同時に見直される年だからです。

6年に一度の大チャンス(財務省にとって)だからです。

もちろん、上げてもいいはずなのですが、デフレの日本でさらなる貧困化のための診療報酬と介護報酬の引き下げをするわけです。

お医者さんの置かれている立場

診療報酬、言い換えればお医者さんの単価を、市場価格に合わせて下げられる薬価と同じように、お医者さんの単価も下げないといけないというわけです。

デフレで他の産業の賃金水準が下がってきています。実質賃金はピークと比べて15%下がっています。そういうときでも、お医者さんのお給料が下がっていない。だから下げようということになったそうです。。。

みんなも下がっているのだから、あたなも下げなさいということだそうです。。。

なんでデフレかというと、財務省が診療報酬に代表される緊縮財政をやっているからです。

結果みんな貧乏になっちゃった。でもお医者さんの下がり方が遅い。じゃあ、お医者さんの給料を下げようと財務省はしているわけです。

介護現場の置かれた立場

もっとまずいのは介護です。

介護報酬は、2015年度のときに、基本報酬の4.48%の引き下げという大幅改定をしています。

介護サービスの利益率がドーンと落ちてギリギリになったのに、さらに下げようということです。

なぜかというと、介護サービス全体の利益率が中小企業の平均よりも高くて、概ね良好な経営状況だと言ってきています。

中小企業の利益率が低いのはデフレだからです。そのデフレを作っているのは、先ほども言いましたが財務省です。。。

低いほうに合わせる。。。こんなことやっているからデフレになっているのです。

医療、介護業界が危ない

どこか利益の出ている業界を見つけると下げろ!と財務省がやってくるわけです。

本来であれば、低いところを上げていかないといけないのですがそういう発想はまったくありません。

医療サービスについてですが、デフレで賃金の高止まりが続いたと財務省は言っています。

有効求人倍率を見たときに、医師不足はどう説明するのでしょうか?

看護師さんの有効求人倍率は3倍ほどで、医師の有効求人倍率は5倍を超えています。

お医者さん1人に対して求人が5個あるわけです。ここまで人手不足が進んでいるわけです。

お医者さんや看護師さんは、サービス残業をひたすら拡大して、なんとか現場を回しているのです。

まともに残業代を請求すると病院が倒産しちゃうからです。。。

だから、みんながんばって堪えているのにもかかわらず、デフレで他の産業は下がっているから、医療についても単価を下げますということを言ってきているわけです。

医療亡国、介護亡国

このまま行ったら、日本の医療はどうなってしまうのでしょう?

よく言われる医療亡国と言った、医療費が膨れ上がって財政破綻する~~~と言った話がありました(本当はありえない話でしたが)が、今回は、本当の意味での医療亡国が進んでいると言っていいでしょう。

こういうことをしているとお医者さんのなり手がいなくなって、病院は倒産してしまいます。看護師さんもなり手がなくなって、ものすごい人手不足で供給能力が落ちていくのです。

最終的に、私たちがお医者さんにかかりたい、医療を受けたいと思ったときに、受けれない。どんなにお金を払っても受けれない。なぜかというと、お医者さんがいないから、病院がないからという、発展途上国になると。これが医療亡国だと言えると思います。

明らかに、日本はそちらの方向に向かっています。

介護も同じです。介護の有効求人倍率も3倍を超えてます。産業としては有効求人倍率の高さでは現在トップです。

その状況でさらに介護報酬を引き下げてくるわけです。

もともと介護業界では、女性で月額他の産業と比べて3万円低いです。男性では、10万円低いです。なり手がないのに決まっているという話です。給料が安いのに、維持するために、介護士さんが死に物狂いでがんばっているところに介護報酬を下げると財務省が言ってきています。

これでどうすればいいかと言えば、プライマリーバランス黒字化目標を破棄するだけでいいのです。

始まりは1997年で、社会保障の介護、医療、年金の支出が増えるのは明らかだったのです。

なぜかというと高齢化が進んでいたからです。その対策として3つの解決策を作りました。

1つ目が増税で賄おうと、つまり消費増税に繋がりました。

2つ目が社会保障以外の支出を削ろうと、公共投資は半分まで削られちゃったし、防衛費削られて、科学開発費の予算も削られたというわけです。

3つ目が社会保障自体を抑制しようというわけです。

その流れは今も続いていて、当時は財政構造改革法という法律で担保されたんですが、今はプライマリーバランス黒字化目標となっています。

医療報酬、介護報酬を下げる、つまり単価を下げたいわけです。

なんでデフレの国で、医療報酬、介護報酬の単価を下げるの?と話なのですが、こういうことになっちゃっているということです。

日本で介護士になりたい人がいなくなり、よいよ海外の方々にお願いしようという話が見えてきています。

今月の11月1日に介護分野において技能実習生が解禁になりました。

最終的には、日本の介護は海外の方々がやるのかと思いきや、聞いてみると、あまりにもひどすぎて海外の方々もやりたくないそうです。。。

それだけ、安くてきついということです。。。

中国人やベトナム人もやらないそうです。

そういう状況に日本はなってしまっているということです。

最終的には、介護を受けられないということになると思います。そういう意味での介護亡国になると思われます。。。

切実な問題だと思うのですが、さらに給料を下げる!と言ってきているのが財務省なのです。

恐るべき国になってきていると言えます。

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