文化放送のラジオネタです。コメンテーターは経済評論家の三橋貴明さんです。
厚生労働省が7月28日に発表した日本の有効求人倍率が前の月よりも0.02ポイント増加して、1.51倍になりました。
1人に対して、仕事が1.51件あるわけなので、仕事を選ばない限り、100%就職できることを表します。
日本の人手不足
有効求人倍率の1.51倍がどれだけすごいかというと、バブル期ですら、1.4倍だったそうです。
しかも、正社員に限定した有効求人倍率も1.01倍になりました。つまり、仕事を選ばなければ、100%正社員で就職できるということです。
これは、少子高齢化で、生産年齢人口対総人口比率が減ってきているためです。
この生産年齢人口対総人口比率が改善しない限り毎年深刻化していくことが予想されます。
つまり、この人手不足は一時的な現象ではなく、今後さらに深刻化していくことになります。
だからと言って、移民を受け入れるのではなく、今いる人たちだけで賄うための生産性の向上により乗り越えることで、日本は再び高度成長するチャンスがあると言えます。
生産性の向上とは、生産者一人一人の生産性を上げるために、資本を投資して、より高い生産能力を獲得することを示します。
なぜ、日本が再び高度成長できると言えるかというと、日本は高度成長期にまさに資本を投資して生産性を向上させたことにより、成長できた実績があるからです。
つまり移民を受け入れないで、自国民の生産性向上によって、人手不足を解消できたからこそ、高度成長できたのです。
生産性の向上により、一人の生産性が2倍3倍になれば、人手不足も解消できるし、一人の生産物も増えるので、お給料も上がるというわけです。
生産性の向上は、機械による補助や新しい技術の補助、生産者の熟練度などで向上できます。
そのために、資本を投資することが今必要だということです。
完全雇用になる可能性
有効求人倍率はこのまま上がり続けることが予想されるとのこと。
失業率も一時3%まで上がりましたが、また2.8%まで下がりました。
しかし、このまま下がり続けて、2.3%まで行くとのこと。
そうなったら、完全雇用が成立して、自発的失業者以外、失業者がいなくなります。
なぜ2.3%かというと、過去の数字で見る限り2.3%が完全雇用の数値だからだそうです。
日本は、失業者のいない未来が近づいていると言えるでしょう。
世界の状況
日本は、少子高齢化で人口が減っていますが、世界に目を向けると人口爆発のため人口が増えています。
現状、ヨーロッパへの移民難民の流入は現在、リビアから地中海を渡ってイタリアに入るルートが確立されてしまっています。
IOM(国際移住機関)によるとリビアから密航してイタリアに渡った人の数は、今年に入ってから7月までで93417人、1年前に比べて5000人増加しているとのこと。
陸路は、トルコからギリシャに入って、ハンガリーなどを抜けて、ドイツにたどり着くバルカンルートがメインだったのですが、EUからの要請でトルコが渡航規制をかけるようになりました。このため陸路はだめになりました。
そのため、リビアから地中海を抜けてイタリアに渡る中央地中海ルートが確立されたわけです。
去年、中央地中海ルートを通ってイタリアに渡った人の数は対前年比で2割増の181,000人でした。
移民難民の数はさらに増え続けています。
なぜリビアなのか
なぜリビアかというと、現状リビアには、統一政府がないです。ですので、取り締まる警察組織もありません。
ですので、密航ビジネスがリビアで流行ってしまっているそうです。
イタリアのメディアによると密航料金は一人22万円だそうです。
密航する人たちは、ゴムボートなどにすし詰めにされて送り出されます。
密航を手助けする密航業者は、密航者の安全など配慮しません。なので、地中海での行方不明者は5000人を越えたそうです。
まさにグローバル化だと言えるわけです。
シリアの内戦が原因?
現在、移民難民がイタリアに押し寄せているのが、シリアの内戦のためだと考えるかも知れませんが、実は違うそうです。
アフリカの人口爆発が原因で増えた人口のはけ口がイタリアへの密航に繋がっているそうです。
アフリカの人口は、世界の人口の9%ですが、今後100年で40%まで増えると言われています。
逆にヨーロッパは22%から7%に減ると言われています。
ロシアのメディアによると、2065年までにはイタリアの人口の40%が移民になるとのことです。
なので、シリアの内戦が終わっても、移民の流入は止まらないことが予想されるわけです。
人口構造の問題には誰も抗えない
日本は少子高齢化によって人手不足になっています。
これは人口構造による現象なので、政権が変わってもこの現象は止められません。
同じようにヨーロッパの人口減少とアフリカの人口爆発も続きます。
今後、ヨーロッパは数十年間、アフリカからの移民に苦しめられることになるそうです。
もし、イタリアがイタリア国民のイタリアを望むのであれば、国境を閉鎖するしかありません。
海を越えてくるわけですので、移民船を追い返すか、撃沈するしかありません。
現在の価値観では許容しがたい国家権力を使わざるを得ないわけですが、できるでしょうか?おそらくできないと思われます。
ですので、今後毎年数十万人という規模でイタリアに移民が入り続けることは確定的だとのことです。
痛みを許容できないレベルになるとイタリアは移民を他の国に追い出そうとすると思われます。
そうなると、他のEU諸国も受け入れられなくなり、EU自体が瓦解すると予想されます。
人の移動の自由を掲げたEUが終わると思われます。
日本はどうする?
こんな状況の中、日本が人手不足です、外国人労働者の方々、来てくださいなどと言ってしまったら、どうなってしまうのか。
人の移動の自由がどれだけ怖いのか、真面目に考えないといけない時に来ていると考えるべきではないでしょうか。
イタリアの惨状を見て、なお外国人労働者で埋め合わせようとすることがどれだけ怖いかを考えるべき時だと思います。
日本も、移民の数が対前年比で20%を越えています。
近い将来、この10倍にまで増えてもおかしくないそうです。
このまま、日本も移民国家になってしまうのかも知れないです。
そうなったとき、日本国民の共同体として存在していた社会保障は維持できるのでしょうか?
国境がないということは、日本国民が移民の方々を養う覚悟が必要になるということです。
ドイツに入ったシリア難民の就職率は3%だそうです。他の97%はドイツ国民に養ってもらっているのです。
本当に日本はそんな移民難民を受け入れられるのでしょうか?その覚悟があるのか、政治家の方々には真剣に考えて欲しいと願う限りです。