北朝鮮への経済制裁の行方、中国の政争が北朝鮮を救っている







文化放送のラジオネタです。コメンテーターは経済評論家の三橋貴明さんです。

安倍総理が中国に北朝鮮への石油輸出の停止を要請したそうです。

安倍総理、習近平国家主席に北朝鮮への制裁要請

安倍総理が7月8日の土曜日に、習国家主席と会談した際、核とミサイル開発を続ける北朝鮮に対して制裁策として、石油の輸出の停止を要請したそうです。

習近平国家主席は、北朝鮮との対話路線を目指そうとしています。

独自制裁には反対の立場を示しています。

中国の政争

習近平氏は、江沢民派と中国内部で政争をしています。

北朝鮮と関わりが深い北部戦区は、江沢民派が抑えています。

北部戦区とは、昔の瀋陽軍区で、内モンゴル自治区、黒竜江省、吉林省、遼寧省、山東省の地帯、つまり北朝鮮と国境を挟んだ地区です。

この北部戦区が北朝鮮の利権を握っています。年間500億円とも言われる利権がここにあります。

習近平氏を含む中国トップ官僚のチャイナセブンのうち4人が習近平派で、3人が江沢民派です。

つまりは、力が拮抗している状況です。

習近平派がいくらアメリカから圧力を受けたとしても、政争相手の江沢民派を動かすことはできない状況が中国国内ではあります。

つまりは、いくらアメリカがディールしたと思っても、習近平氏は北部戦区を動かすことはできないのが現状です。

安倍首相が習近平氏にいくら要請したところで、無駄だということです。

中国の秋の党大会

秋の党大会で、習近平氏は自分の基盤を強固にすることを考えています。

チャイナセブンのうち5人が年齢制限などで、抜けることが決まっているそうです。

今は7人ですが、それを4人に減らすということも考えているようで、ここで習近平氏が基盤を強固にできれば、また状況が変わることが予想できます。

江沢民派の弱体化は、成功するのか、見ていかないといけないです。

北朝鮮を囲む状況

とうとうアメリカもトランプ大統領が投げ出し気味になっているようです。

中国にいくら言っても状況が変わらないのを見て、諦めだしています。

北朝鮮に対して圧力路線を行くのが、日本、アメリカ、韓国です。

それに対して、対話路線を行くのは、中国とロシアです。

先日、G20があり、北朝鮮への批判の声明が出ていますが、それぞれの国の思惑は違うようです。

中国とロシアにとっての北朝鮮を囲む状況

中国とロシアにとっては、北朝鮮がアメリカともめ続けてくれることは非常に都合がいいこととなります。

自分たちに矛先が向かないからです。

中国とロシアは、アメリカと韓国の軍事演習もやめさせたいと言っています。そして韓国へのTHAADの配備も置くなと言っています。

THAADは、中国、ロシアにも有効になるものなので、当たり前と言えば当たり前です。

北朝鮮の今後

日中首脳会談がありましたが、会話で北朝鮮をなんとかできる状況はなくなってきているようです。

先送りできない状況は、段々近づいてきていると思われます。

アメリカが引いているレッドラインにかなり近づきつつありますが、アメリカもすぐに戦争起こすことは考えていないようです。

湾岸戦争時のことで言うと、あのときは原子力空母が6隻配備されました。

今回ももしアメリカが本気で攻撃しようとするときには、それに近い艦数の原子力空母が日本海に集結すると思われます。

まだそこまではアメリカも本気を出していないので、すぐに何か起こることはないと思いますが、何かあったときは、日本も無事では済まないだけに、今後、どうなるか心配ですね。

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