ブレトン・ウッズ体制とは何かというと、1944年に「アメリカのドルを基軸とした固定為替相場制」を実現するために、アメリカとイギリスで決めたブレトン・ウッズ協定後の体制のことです。
資本の移動の制限と例外的な関税の復活は必要?
ブレトン・ウッズ体制では、資本の移動を制限し、各国は例外処置や緊急避難的処置として関税を用いて自国の産業を育てることができました。
ブレトン・ウッズ体制が続いた1945~1971年までの間が世界経済が一番成長し、格差が小さく、理想的な成長を実現できた時代だったのです。
今、各国で移民問題やデフレに苦しんでいる現状を見ると、まさにこのブレトン・ウッズ体制時に戻すのが正しいと思うわけです。
資本の移動が自由でないということは、自国で儲けたお金は、自国に投資することになります。
資本主義の基本である、資本の投資を増やし続けることにより成長をすることができるようになるわけです。
つまり、今のようなグローバル世界では、儲けたお金を自国に投資する必要はないため、より安い人件費の国に投資してしまい、自国の産業が空洞化して当たり前なのです。
ブレトン・ウッズ体制はアメリカによる金の不足から、金の兌換を1971年突然停止することで終わりました。
そこから1973年に固定相場制から変動相場制に移行しました。
変動相場制により、経済が不安定化したと言われています。
今のグローバリズムの問題を考えた場合、ブレトン・ウッズ体制の資本の移動制限は必要なのではないかと思うわけです。
人の移動も制限するべきだと思います。
そもそも、資本や人の移動が善ということ自体、どこから導かれたのでしょう?
経済自由主義の行き詰まり
新古典派経済学は経済自由主義を掲げているため、それに従った形で妄信的な考え方で、経済自由化、資本の移動の自由、人の移動の自由が進められました。しかし、グローバル化が進め過ぎて、各国が疲弊しているわけです。
であれば、もう一度制限を設ける必要があると考えるわけです。
覇権国イギリスの衰退と同じ道を歩んでいる日本
第一次世界大戦前の状況を考えてみると、世界の覇権国だったイギリスが経済自由化を進めていた反対で、アメリカとドイツは保護主義を実施し、ドイツは覇権国への挑戦国になるまで、成長することができたのです。イギリスは反対に相対的に産業が衰退しました。
歴史が示すように、経済自由化を進めすぎると、自国の産業は衰退するのです。
経済自由化を進めたことで、世界の工場と言われていたイギリスが国際競争力を失い、没落したのです。
現在で言えば、産業大国となった日本が資本の移動を取り入れ、中国に進出したことで、自国の産業を衰退させてしまったわけです。
なぜ歴史から学ばないのか不思議でなりません。
上流階級、支配階級の人たちをどう抑えるのか?
なぜグローバル化が進むのか。それは上流階級、支配階級の人たちには、都合がいいからです。
安い労働力で、同じものを生産できるのであれば、他の国で生産した方が儲けが大きいからです。
上流階級、支配階級にとって都合がいいということは、それに向けて国の政策を実施させれば、自分たちが儲けられるからなのです。
言ってしまうと、その人たちには、国の盛衰など関係ないのです。
でも政府や国会議員の方々は、違うはずです。
経世済民(けいせいさいみん)、つまり「世を経(おさ)め、民を済(すく)う」がお仕事のはずです。
なぜ、上流階級、支配階級の言うことばかりを聞いて、国の政策を決めてしまうのか、さっぱりわかりません。
トリクルダウン理論など存在しないと、グローバル化推進者の人材派遣会社パソナの会長の竹中平蔵氏(民間議員)ですら認めているのです。
トリクルダウン理論とは「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる(トリクルダウンする)」という理論です。
つまり、富裕層を優遇する理由はなくなったのです。
これからどうすれば、経世済民を実現できるようになるのか、政府や国会議員の方々には、考えて欲しいと願うばかりです。